自分の行動や思考を認識する力とそれを活用して修正する力
自分の振る舞いを改善するには、他者からのフィードバックが重要です。一方で、自分自身でできることもあります。自分の振る舞いを自分で認識し、補正をしていくことです。
この記事では、自己改善に関わる概念としてメタ認知についてまとめます。
メタ認知とは?
具体的には、自分の認識、理解、記憶、感情、意思決定などのプロセスを認識し、その効果や効率性を評価し、必要に応じて修正する能力を指します。つまり、自分の思考や学習について客観的に考え、自己調整を行うことができる能力です。
図で表現するなら以下のような感じです。
メタ認知の利点
- 学習能力の向上 - 自分の学習スタイルや効果的な学習戦略を理解し、適切な方法で学習することができます
- 問題解決能力の向上 - 問題を分析し、解決策を考える際に、自分の思考プロセスを意識的に管理することができます
- 認知的柔軟性の向上 - 自分の思考や行動を客観的に見ることができるため、新しい視点やアプローチを受け入れやすくなります
- ストレス管理 - 自己認識と自己管理が強化されるため、ストレスや感情のコントロールがしやすくなります
メタ認知の強化方法
- 自己観察 - 自分の思考や行動を客観的に観察し、それらを理解することから始めます。自分自身の強みや成長の余地を見つけるために、日常的に自己評価を行いましょう
- フィードバックの受け入れ - 周囲の人からのフィードバックを受け入れ、それを分析して自分の行動や思考を改善するための手がかりを見つけます。フィードバックを受け取る際には、感情的にならずに客観的に受け止めることが重要です
- 目標設定と反省 - 自分の目標を設定し、定期的にそれらを振り返ります。目標達成のためのプロセスを分析し、成功や失敗から学び、次回の目標設定に役立てます
- 問題解決と判断力の強化 - 問題解決や決定力を向上させるために、問題を細かく分析し、解決策を検討します。また、選択肢や結果に対する予測を行い、それに基づいて行動することで、自分の判断力を養います
- メタ認知スキルのトレーニング - メタ認知スキルを直接的に訓練する方法もあります。例えば、自己認識や自己管理のスキルを向上させるためのマインドフルネスや認知行動療法の練習を行うことで、メタ認知を強化することができます
個人のふりかえりについては以下にまとめてあるので気になる方はご覧ください。
メタ認知の強化の個人的な経験
自己認識が弱かった頃と強くなってからについて対比したうえで、強化につながったと思われる個人的な取り組みをまとめます。
自己認識が弱かった頃
- 自分の責任とは限らないことを自分の責任として捉えて不安になっていた
- 漠然と、能力不足への不安があった
- 環境や他者に関わる問題など、自分ではどうにもならないことに対して不安を抱えていた
- 自分が何を得意とし、何を大切にしているのか整理できていなかった
- 仕事に対して受動的だった
自己認識が強くなった後
- 事象を詳細に認識し、自分の取り組みの影響によるものとそうではないものを切り分けることができるようになった
- 自分の感情やその背景にある価値観に気づくことができるようになった
- 自己の成長を実感できるようになった
- 自己認識の考え方を通して他者の考えを以前よりも類推できるようになった
- 自分が何を得意とし、何を大切にしているのか説明できるようになった
- 仕事に対して能動的になった
自己認識の強化につながった取り組み
おそらく以下のような取り組みの積み重ねが自己認識の強化につながったのだと思います。
- 個人日報 - 2015年1月からほぼ毎日欠かさず日報を書いています
- 週次の個人ふりかえり - 2015年1月からほぼ毎週欠かさずふりかえりを実施しています
- 月次の冒険記 - 2017年2月から冒険記と称して個人ブログで月次のふりかえり記事を公開しています
- 年次のふりかえり - 2014年から年末に1年のふりかえり記事を公開しています
- 認知療法 - 仕事で燃え尽きて休職している期間に認知療法を実施しました
- マインドフルネス - ある時期に1年以上毎日実施していました
- 人事領域のインプット - 人事にキャリアチェンジをするにあたって人事関連のインプットを大量にする中で自己認識・心理など、人間の思考に関わる知識を多く仕入れました
メタ認知とアンラーニング
まとめ
メタ認知は、慣れないうちはふりかえるタイミングを用意して認識するような形になりがちですが、慣れてくると出来事が発生している瞬間に認識できることも増えてきます。また、こういったメタな思考に慣れてくると具体的な思考とメタな思考を並行して走らせることができるようになる人もいます。例えば、会議に参加していて会議の中身に思考を巡らせる最中に、会議そのものの進行や、会議に参加している部下の成長に気づくなど、俯瞰した視点での気付きを得るようなケースです。